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INTERVIEW

新時代に生きる栄養士へ――日本スポーツ栄養協会理事長が考える、栄養士の未来

鈴木 志保子先生(日本スポーツ栄養協会理事長・日本栄養士会副会長)

今回のインタビューは、日本スポーツ栄養協会理事長・日本栄養士会副会長である鈴木 志保子先生(管理栄養士・公認スポーツ栄養士、神奈川県立保健福祉大学教授)。後編は鈴木先生が考える、栄養士の未来について特集しました。

前編はこちら
「興味」に突き動かされて――日本スポーツ栄養協会理事長が振り返るキャリア

【Society5.0で問われる、栄養士の存在価値】

インタビューを通して鈴木先生が繰り返し強調したのが”Society5.0”というワード。AIをはじめとした技術革新が進み、人とモノが常につながりあっている中で、新たな価値が生み出される「文明社会の第5段階」を指します(詳しくはこちら)。ところがそれは同時に、栄養士の働き方にも大きな変化を迫っていると鈴木先生は指摘します。

鈴木先生「栄養士の仕事って、恐らく50年以上は大きく変わってこなかったと思うんです。いくら栄養価計算がパソコンでできるようになったとしても、根本的なメニューが変わるわけではなかった。家電販売のように、数年ごとに大きな技術革新があって、そのたびに勉強しなおさなければ生きていけないような職業ではなかったんです。でも、栄養士にもそうした大きな働き方の変化が、もうすぐやってくると感じています」

Society5.0のなかで考えられる栄養士の変化とは、いったいどのようなものなのでしょうか。

鈴木先生「例えば、もうすでにやってきているのは献立作成AI(参考はこちら)ですよね。献立作成に取られていた時間がなくなって、3人でやっていた仕事が1人でよくなるかもしれない。その時に栄養士が自分自身の存在価値を示せなければ、恐らく必要とされる管理栄養士の数は激減します」

さらに鈴木先生は、新型コロナウイルスの感染拡大による社会の変化も、栄養士の必要性に拍車をかける可能性があると強調します。

鈴木先生「1年前に、これだけ在宅勤務が一般化する未来なんて想像できなかったですよね。今後の状況次第ではありますが、恒久的にテレワークを推進するなかで、社員食堂の利用率が低下する企業も出てくると思います。仮に厨房の稼働率が下がってしまったとしても、栄養士の存在価値を示せるような、新たな取り組みが出てこなければならないと思っています」

「今まで通り」が通用しなくなっていく、栄養士という職業。これから新たな栄養士が生き残っていくためには、どのような心構えと取り組みが必要なのでしょうか。

 

【ソーシャル・ディスタンスを縮められる仕事へ】

これからの栄養士の働き方を考えるうえで、鈴木先生はあるキーワードを提示します。

鈴木先生「ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)って言葉がありますよね。新型コロナウイルスの感染拡大の中でフィジカル・ディスタンス(身体的距離)と混同されがちですが、WHO(世界保健機関)はこの2つを明確に区別しています。

これまでの栄養士業務は、どうしても身体的距離を縮めなければやっていけない仕事でした。今後は、社会の急激な変化に従って、これからは社会的距離をいかに縮めていくかが重要になっていきます。言い換えれば、人と人の心の距離を縮めて、その間に入っていくような仕事ですね。

例えば公認スポーツ栄養士はアスリート一人ひとりに寄り添っていくという意味で、社会的距離が非常に近い仕事だと思います。技術の進化に伴って生まれてくる時間的余裕を、いかに『一人ひとりに寄り添う』という方向に振り向けていくかが重要です」

その上で、鈴木先生の頭の中には新時代の栄養士が活躍できるアイデアがいくつも生まれています。

鈴木先生「例えば栄養ケア・ステーション(日本栄養士会の認定による、地域の栄養サポート拠点を認定する制度のこと。詳しくはこちら)のさらなる充実です。現在は病院や薬局がおもな中心になっていますが、地域の栄養サポートを活性化させる意味で、受託給食企業にもぜひ参入していただきたいですね。

あるいは、企業における健康管理部門。テレワーク推進のなかで社員の健康管理は大きな課題になっていますし、そこにも入っていける余地があると思います」

栄養士の専門性を高め、これからもなくならない仕事にしていくために、鈴木先生はLEOCに期待を寄せています。

鈴木先生「栄養士が従来担っていた役割は恐らく軽減されていくと思いますが、それに代わるアイデアを形にすることが、いまの受託給食会社には求められています。そういった意味で、栄養ケア・ステーションや公認スポーツ栄養士に対する資格手当など、栄養士のためのアイデアを本気で聞いてくださるLEOCさんに大きな期待を持っています」

 

【自分で「ワクワク」をつくれる栄養士に】

見方によっては、先行きが暗く見えてしまうかもしれない栄養士という職業。しかし鈴木先生は、栄養士ほど「ワクワクできる仕事」はないといいます。

鈴木先生「確かに今のままでは、ワクワクはないかもしれません。でも、ワクワクできる可能性はたくさん秘めていると思うんです。だから、自分でワクワクできることを考えてみる。常に未来を考え、社会の変化に受託給食会社の栄養士が先駆的に取り組んでいけば、活躍の場は大きく広がっていくと思います。先を見てワクワクする、自分が会社を動かしていくってくらい自分自身で動いていければいいですね」

そして「ワクワク」していくためにはそのベースとして、栄養士という資格ならではのスキルアップが重要と強調します。

鈴木先生「栄養士は常に栄養のプロフェッショナルとして、『電気と電波がない状況でも仕事ができるか』を肝に銘じておかなければならないと思います。例えばいまは栄養価計算がパソコンで簡単にできますが、万が一何かあった時でも対応できるか。場所や環境に左右されず、常に自分自身の存在意義を高めておかなければいけないですね」

スキルを高め、自ら「ワクワク」を探せる栄養士へ。激動の社会にあるからこそ、栄養士という仕事の可能性は大きく開かれています。

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