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INTERVIEW

栄養士の可能性を広げたい――内野先生が見据える、栄養士の未来

内野 美恵先生(東京家政大学 ヒューマンライフ支援センター准教授、博士)

1990年代初頭からパラアスリートの栄養サポートを行ってきた先駆者として知られる、内野 美恵先生。現在は栄養士・管理栄養士の可能性を広げる活動にも積極的に取り組んでいます。内野先生が見据える、栄養士の未来像についてインタビューしました。

※インタビュー時は全員マスク着用の上、三密を避けた環境で実施しております。

【食の専門家だからこそ】

2012年に開催された「LEOC大学」(社員向け研修)で講義を行って以来、LEOCとの関わりが増えたという内野先生。外から見たLEOCの印象について、次のように語ります。

内野先生「研修の時、社員の皆さんのモチベーションが素晴らしかったです。そして何より、柳原さん(LEOC総調理長)が『栄養士を中心に、栄養士が輝ける会社にしていきたい』とはっきりおっしゃられていて。そのように考えてくださる企業があるんだと思って、すごく嬉しかったですね」

その嬉しさの背景には、内野先生自身が抱いていたある想いがありました。

内野先生「栄養士って、食の専門家ですよね。食という懐の深い軸があるからこそ、色々な分野とつながって、専門性の高い仕事ができる可能性に満ちていると思っているんです。

一方で栄養士はどうしても厨房にこもりがちになってしまって、なかなか表に出て活躍しづらい現状があります。LEOCさんは全社的に『栄養士がもっと活躍できる企業へ』という姿勢を取ってくださっていますし、栄養士の意識次第で働き方の幅がより拡げられるのではないかと期待しています」

実際に大学院生の頃から、企業や病院における栄養指導、アスリートの栄養サポートなど、管理栄養士の資格を生かしてさまざまな仕事を経験してきた内野先生。そのベースには、「栄養の知識を社会のために」という信条がありました。

内野先生「私が大学院に入学した最初の授業で『アメリカでは管理栄養士が独立して栄養指導を行っている』というのを耳にして、『これだ!』と思いました。

その頃の日本は栄養の知識が今のように一般的ではなかったですし、栄養の知識を扱う情報番組もわずかでした。ですから伝え方を工夫していけば、栄養学がより社会の役に立つと思ったんです。

今は時代も変わり、栄養の情報があふれる程になっていますが、正しい情報を伝えなければという根本的な想いは変わりません。健康が常に求められる世の中にあって、栄養士は大きなビジネスチャンスをつくっていける専門性を持っていると思うんです」

栄養士の持つ専門性と、そこから生まれる大きな可能性を信じてやまない内野先生。そして内野先生自身、栄養学の知識を生かした新たなプロジェクトへと踏み出しています。

 

西アフリカへ、そして宇宙へ…?】

内野先生が現在取り組んでいるのは、「最後のブルーオーシャン」とも呼ばれる西アフリカでの食支援プロジェクトです。

内野先生「西アフリカには広大な海があって魚も取れるのですが、その魚を冷凍保存して流通させるようなインフラがないんですね。ですから一部の魚は流通させられずに腐らせてしまっているんです。

そこで魚をすり身団子などの加工食品にして流通させることで、フードロスの削減はもちろん、加工場における女性の就労支援や、子どもたちの栄養改善につなげていこうという取り組みです。

このプロジェクトに栄養士が関わることで、おいしさや技術のみならず栄養・衛生の考え方も輸出していけると考えています。まさに栄養士の強みが生かされる機会です」

加工場に勤務する現地の女性たちは、アフリカ気質ならでは、歌って楽しみながら仕事に取り組んでいるとのこと。このプロジェクトに約5年前に関わり始めたのも、持ち前の強い好奇心からだったといいます。

内野先生「新しいこと、誰もやっていないことにワクワクするんです。パラアスリートの栄養サポートも、私が始めた頃は誰も取り組んでいなかったからこそ、より楽しんでチャレンジすることができました。

栄養士って、どんな領域にも関わっていけるのが強みなんです。食というテーマの懐が深いからこそ、チャンスがたくさんあるんだってことは、身をもって経験済みですから!」

内野先生の好奇心は今や地球上にとどまらず、なんと宇宙まで広がっています。

内野先生「いま興味があることは宇宙ですね。宇宙旅行もこれから一般化されていきそうですし、宇宙空間で栄養士のできる仕事は何だろうって考えています。まだまだ空想レベルですけどね(笑)。

でもチャンスって、いろいろな考えを巡らせて準備をしておくと、ある日突然つながるものなんじゃないかと思うんです。アンテナを立て続けておくことが大切なのかなと感じています」

尽きない好奇心で、アクティブに次のチャンスを探し続ける内野先生。最後に内野先生が考える、栄養士の未来像について訊きました。

 

【提案力のある栄養士をめざして】

栄養士を取り巻く社会環境が大きく変化していることを踏まえ、内野先生は次のように指摘します。

内野先生「いま働き方に多様性が認められるようになってきていますし、AIの進化も進んでいますよね。そうしたことを踏まえると、栄養士の仕事に効率を求める時代はもう終わりを迎えていると思うんですよ。

逆に栄養士に必要になってくるのは『一人ひとりに合わせた、オーダーメイドな提案力』。人のためになることって、単に自分のしたいことをしているだけでは成立しないですよね。相手のバックグラウンドを理解して、本気で考え抜いて提案しないといけない。

厨房にこもりっぱなしではなくて、いろいろな人間関係を築いて経験を積んでいくからこそ、幅の広い提案ができていくんじゃないかなと思っています」

そうした「新しい栄養士」の働き方を生み出していくためには、栄養士自身のみならず、委託企業の姿勢も問われています。

内野先生「LEOCさんは『キラキラ栄養士プロジェクト』をはじめ、専門性を高めていくことで栄養士の地位向上につなげていく取り組みをされていますよね。また『誰かのためになるアイデアはウェルカムですよ』という社風も、外から見て感じています。

今後、新たな栄養士の働き方を支えてくださるような取り組みにも期待しています」

自らアクティブに動き、後に続く栄養士たちに「新たな時代の栄養士」のロールモデルを示してきた内野先生。栄養士が持つ可能性に、大きな希望を抱いています。

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